ZEH(ゼッチ)って何? 概要やメリットなどを解説します
近年、住まい探しの際に目にすることがあるのが、「ZEH(ゼッチ)」という文字。
「なんだか“良さそう”だけど、何がどう良いのかわからない……」という方も多いのではないでしょうか。
ZEH とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味。
環境負荷を減らすための国としての取り組みで、建物自体の断熱性を高くしたり、消費エネルギー量が少なくてすむ住宅整備の導入を進めたりするなどして、使うエネルギー量を減らすことで、「夏は涼しく冬はあたたかい」快適な環境を保ちながら省エネルギーを目指すものです。
そして、マンションなどの集合住宅における ZEH が「ZEH-M(ゼッチ・マンション)」。
今回は ZEH マンションの概要やメリットのほか、バウス府中が認証を受けている「ZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)」について解説していきます。
こちらの記事をまとめると……
■ZEH って何? エネルギー消費を 20%削減、経済的で環境にもやさしい ZEH マンション
■ZEH マンションに暮らすメリットは? どんな仕様・設備が採用されているかを紹介します
■ZEH マンションの将来は? 将来的な資産価値に影響する可能性も
ZEH って何? エネルギー消費を 20%削減、経済的で環境にもやさしい ZEH マンション
冒頭で少し説明したとおり、ZEHとは高い断熱・省エネ性能の住宅にすることでエネルギーの消費量を減らすことで、快適な室内環境をつくる家のことをいいます。
日本では先行して戸建住宅でZEHの採用が進んでいました。その後2018年に経済産業省がZEHの集合住宅版である「ZEH-M」の定義を策定。
これにより、徐々に省エネ性能の高いZEHマンションが増えてきました。
マンションの階層に応じて4タイプの基準が設けられていて、14階建てである「バウス府中」が認証を受けているのは、6階建て以上のマンションが目指すべき水準「ZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)」。
太陽光発電のような創エネの設置義務はなく、省エネ率20%以上の削減達成が評価基準です。
▲公式ホームページに掲載されている、バウス府中の第三者評価マークを引用。
第三者機関のBELS(ベルス)では、バウス府中で削減できるエネルギー消費量は27%と評価。
5段階で星5つの最高評価を受けています。
27%、3割弱もエネルギー削減できると聞くと、高熱費もずいぶん変わってきそうですが、具体的にどれくらい削減できるのか、気になるところですよね。
▲マンション公式サイトに掲載されている、試算画像を引用。
こちらは専有面積71.93㎡「Bタイプ」での、「新省エネ基準の家」と「バウス府中」の光熱費を比較したものです。(※1)
「新省エネ基準の家」も省エネ基準を満たしているのですが、ZEH-M Orientedの認証を受けた「バウス府中」と比較すると、光熱費に大きな差が出ることがわかります。
電気・ガスの年間料金を4割ほど削減できている試算で、年間で26万4000円使う家庭だとすると、10万円程度お得になる計算のよう。
毎月約8,800円の光熱費削減は、かなり衝撃的な金額ですね。
家計にやさしいことはもちろんですが、これほどエネルギーを削減できているということは、脱炭素社会実現を目指す取り組みに自分も少し貢献できている気がして、なんだかうれしいですね。
▲マンション公式サイトより引用。
環境に配慮されたZEHマンションは、税制や金利などでの優遇措置が設定されていることが多いなどのメリットもあります。マンション購入は一生に何度もあることではない大きな買い物だからこそ、優遇措置を活用できるのは有難いですね。(詳しくはマンションギャラリーのスタッフの方までお尋ねください)
ZEHマンションに暮らすメリットは? どんな仕様・設備が採用されているかを紹介します
金銭的なメリットももちろんありますが、私がいいなと思うのは、やはり「住環境が快適になる」という点。
分譲マンションは、戸建てや賃貸住宅などと比べてもともと気密性が高くてあたたかいですが、建物自体にプラスの工夫をすることで冷暖房を使う必要性が少なくなり、よりあたたかく・涼しく・快適になっているというのは、とてもいいなと思います。
部屋間の温度差を小さくできるので、暖房では温度対策しづらいお風呂や脱衣所・トイレがあたたかく、ヒートショックのリスク軽減にもつながることはZEHの大きなメリットのひとつ。
ほかにもエアコンをつけないことで空気がキレイに保てたり、お部屋の乾燥を防げたりと、ZEHマンションは健康面でのメリットも多いんです。
▲リモートワークなどで日中は自宅で過ごすという方には、冷暖房をあまり使わず快適に過ごせるのはよりうれしいですよね。
建物自体に具体的にどんな特徴が備わっているかというと、例えば「窓」が挙げられます。
以前の記事でもレポートしたように、バウス府中は南向きの「ワイドスパン」で窓面が多く開放的な間取り。
窓が多いことは解放感がある一方で、お部屋で冷暖房をかけてもどんどん窓から熱や冷気が逃げていってしまうということでもありますが、以下のような窓で対策をしているようです。
▲バウス府中では、住戸内全サッシガラスに特殊金属膜(Low-E膜)をコーティングした断熱性能の高い「Low-E複層ガラス」を採用。「Low-E複層ガラス」による保温力で冷暖房効果を高め、エアコンの消費電力量を低減してくれます。
Low-E複層ガラスはさらに、冬は外部から日射熱を取り入れる効果も期待できるそう。
ワイドスパンなLDKだからこそ、サッシの近くは寒い…ということがないのはうれしいですね。
また、建物の構造自体には「断熱工法」を採用しています。
屋上・壁・天井の断熱性を高め、外の熱気や冷気から室内環境を守ってくれるもので、室内が外気温に影響されにくいため、結露抑止効果があり、カビの発生も抑えられるんです。冬場の煩わしい結露対策の負担も少なくてすみそう。
それから、給湯には「エコジョーズ」を採用。
家庭で使用するエネルギーの約1/3は給湯だといわれているのをご存じでしょうか?
給湯器「エコジョーズ」は、従来まで捨てられていた廃棄熱をお湯づくりに再利用。少ないガスで効率よくお湯を沸かすことができます。
毎日お風呂にお湯を張るという家庭の場合は、差を感じることが大きくなりそう。
何かを我慢したり不便になったりするわけではなく、効率の良い設備を使用するだけで勝手にできる省エネは続けやすいですね。
▲そのほか、手をかざすだけで操作できる「タッチレス水栓」は、こまめに止水できるので節水効果も。住戸内のダウンライトは省エネで長寿命なLED照明。LDには「エコジョーズ」との相性のいい床暖房を設定しています。
省エネ性能の高い設備や仕様の採用には初期コストがかかりますが、光熱費やCO2削減だけでなく、健康面や衛生面においても快適な暮らしが叶うのは大きなメリット。
毎日の積み重ねの中で、快適さをふと感じるタイミングが多そうです。
ZEHマンションの将来は? 将来的な資産価値に影響する可能性も
皆さんご存じのとおり、世界的に脱炭素社会に向けたさまざまな取り組みが進んでいます。
日本では「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という目標を掲げ、2025年4月以降に着工するすべての建築物に「省エネ基準」適合を義務付けました。
ちなみに、「省エネ基準」よりも条件が厳しくハードルが高いのが「ZEH基準」です。つまり「ZEH基準」のほうが、より高い省エネ性能だということ。
戸建住宅で普及が進んできているZEHは、徐々にマンションでも採用されるようになってきました。
▲経済産業省によると、2021年度の集合住宅供給戸数におけるZEH-Mシリーズの割合は、わずか約7.4%。(※2)
徐々に増えてきたZEHマンションですが、全体の数から見ると、まだまだ少ない状況です。
これから2030年にかけて、徐々にZEH-Mのマンションが増えてくることでしょう。そんな中で、先行して採用していることのメリットのひとつかも…と私が思うのが、資産価値の点。
例えば今、中古マンション市場では、1981年に行われた耐震基準の厳格化に適合しているかどうかの「新耐震基準のマンションか、そうでないか」が、大きな判断材料とされるケースが多いのですが、耐震基準ほど明確にでないにしても、「それ以前の物件と比べて明確にエネルギーコストが抑えられる」ということになると、この先ZEH物件であるかどうかが中古物件を選ぶ際の基準のひとつになっていく可能性はあるのでは?と思います。
将来売却することになった際、ZEHマンションであることがポイントになるかもしれませんね。
いかがでしたか?
環境にも家計にも人にもやさしい、何より快適さがうらやましい(笑)、ZEHマンション。
その住み心地やメリットは、暮らしがスタートしてからより実感できそうですね。
※2:経済産業省・環境省「ZEHの普及促進に向けた政策動向と令和5年度の関連予算案」より出典。
住宅ライター
林 景子
テレビやラジオのレポーター経験から取材好きに。
現在は、住宅のほか、子育てなどに関するライターとしても活動中。
自宅の壁や家具・小物などに自ら手を加えるなど、DIYが得意。