住宅ライターのバウス一之江取材レポート

東京都江戸川区

行政やマンション独自の水害対策は? 気になる浸水リスクを確認します

新中川沿いのリバーサイドに建設中の「バウス一之江」。

これまでに購入された方に購入の決め手をきくと、リバーサイドの開放的な見晴らしや日当たりが気に入っている方も多いようです。

一方で、リバービューであるからこそ、やはり洪水や台風による浸水リスクは気になるところだと思います。

今回はハザードマップを確認しながら、物件の浸水リスクなどを確認。また行政やマンション独自の水害対策についてもチェックしていきます。

(上の写真:マンション対岸の堤防より撮影 マンションから約250m)

こちらの記事をまとめると……

まずはハザードマップをチェック。江戸川区を含む城東エリアは、ほぼ全域浸水リスクあり

まずは東京都の「洪水・内水/高潮浸水想定区域(想定最大規模)」のハザードマップを見てみましょう。

洪水(外水氾濫)とは想定最大規模の降雨などによって川の水が溢れること、内水とは同じく大雨などにより下水道などの排水能力をオーバーして、マンホールから水が溢れることを言います。
また高潮は、台風や低気圧による気圧の低下や強風によって海面が異常に上昇し、沿岸部に浸水をもたらす現象です。

 


▲国土交通省「ハザードマップポータルサイト」に東京駅とバウス一之江の場所を加筆して作成。
黄色や赤で色付けされた場所が浸水想定のある場所。
城東エリアは広範囲にわたって浸水リスクがあることがわかります。

江戸川区や墨田区、江東区などの地域は低地に位置しており、周辺を流れる荒川や江戸川などの河川の影響を受けやすいエリア。川沿いに限らず、ほぼ全域でリスク想定がされています。
それに対して、東京都の西側は、広域で見ると概ね浸水想定なしになっています。

もしも住宅購入においてハザードリスクを最優先で避けたいと考えているなら、主に東京23区で荒川沿いの城北エリアや城東エリアは選択肢から外した方が良いと言えそう。

(もちろん、城西エリアにも川の近くや周辺より低い土地など部分的に浸水リスクがある場所がありますし、外水氾濫だけではなく内水氾濫の履歴がある場所もありますので、検討する場所のハザードマップを調べてリスクを確認しておく必要があります。)

 


▲国土交通省「ハザードマップポータルサイト」に物件位置を加筆して作成。

洪水・内水浸水想定区域ハザードマップの、現地を拡大したもの。
想定最大規模の降雨があった場合の、浸水リスクを示しています。
マンション建設地は3~5mのリスクが想定されているようです。

【外部リンク】ハザードマップポータルサイト

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ここまでは、想定されるリスクの情報。
ではこれまでの浸水履歴についても確認してみましょう。

まずは、道路の冠水履歴から。
江戸川区が作成した「えどがわマップ」の道路冠水履歴によると、平成7年(1995年)から現在まで、建設地と周辺の道路では冠水履歴はありません。

【外部リンク】えどがわマップ(江戸川区ホームページ)

 

また、東京都の「水害リスク情報システム」にある「浸水実績図」でも、建設地と周辺に主要な浸水履歴は無い(※1)ようです。

【外部リンク】水害リスク情報システム

(※1 平成元年(1989年)~令和元年(2019年)の主要な浸水実績。過去の記録に基づいたもので、すべての浸水箇所を反映したものではありません。)

 

まとめると、現地含む城東エリア全体はハザードマップで見ると大雨時の水害想定がされるエリアで、現地の浸水想定は3~5m。
一方で水害履歴を見ると、近年の豪雨の中でも実際に水害が起きた実績は見られない、ということのようです。

行政の治水対策は? 新中川の整備や堤防の強化・下水道整備など、さまざまな治水対策

では次に、行政の治水対策を調べてみましょう。

長年にわたり行政は、川の氾濫をできるだけ防ぐための堤防整備や河道堀削による流下能力の向上、水門の強化、排水のための下水道・雨水貯留施設の整備など、このエリアのさまざまな治水対策を行ってきました。

その治水対策のひとつが、なんとマンション横を流れる新中川をつくったこと。
実は新中川、洪水対策の一環で整備された人口河川なんです。

 


▲新中川は、1963年(昭和38年)に完成。
江戸川区を代表する河川といえば、江戸川と荒川。そのちょうど真ん中を流れています。

大雨や台風時に中川の水位が上昇した際、その水を一部引き受けることで地域の浸水リスクを軽減する仕組みになっています。

 


▲人工河川である新中川は、ほかの河川に比べ、ほぼ真っ直ぐに流れています。
川の氾濫は、河道がカーブしているところや合流しているところ、河幅が狭くなっているところで起きやすい傾向にありますが、新中川はほぼ真っ直ぐ。

もちろん氾濫しないわけではありませんが、蛇行している川に比べると、水が流れる際の抵抗が少ないと言えそうです。

 


▲マンションから800mほど下流へいったところにあるのが「今井水門」。
江戸川区を高潮・津波被害から守る水門です。(バウス一之江から約800m)

 


▲台風などによる高潮や津波が発生し河川の水位が上昇したとき、浸水に備えて水門を閉鎖して水害を防ぐそう。
また、大きな地震があった際にも閉鎖して、津波に備えるのだとか。

 


▲マンション横の堤防もチェックしてみました。
水面から堤防の一番高いところまでの幅もとられ、整備されている様子。

 


▲河川敷に立って堤防を見上げてみました。

 

いろいろな治水工事を進めた結果、1949年(75年前)のキティ台風以来、堤防の決壊などによる氾濫(外水氾濫)は起きていないとのこと。
また、集中豪雨などで排水が追いつかず、マンホール等から水が溢れて浸水する内水氾濫も、下水道整備が進んだ1995年以降、現地周辺では発生していないそうです。

水害が懸念されているエリアであるからこそ、被害ができるだけ起きないよう、行政が力を入れて対策しているようですね。

物件独自の対策は? 高さ約1mの立ち上がり壁や止水壁を設置

最後に、物件独自の水害対策をみてみましょう。

 


▲3種類の対策で建物をぐるっと囲み、水の侵入を防げるようにしているのだとか。

図の赤い部分には高さ約1mの鉄筋コンクリートの立ち上がり壁が設置されていて、もし川の水が堤防を越えたり内水氾濫があったりしても、1mの高さまで止水できる仕組みです。

 


▲マンションギャラリーの模型を撮影。
赤い矢印の部分が、1mの鉄筋コンクリート壁です。建物の雰囲気に違和感なく合っています。
広い専用庭がついているので、圧迫感もなさそうですね。

この立ち上がり壁がない部分は、建物外壁そのもので止水したり、簡単に設置できる着脱式止水板を取りつけたりすることで、水の侵入を防ぐ対策を行っています。

 

いかがでしたでしょうか。

江戸川区をはじめ、東京の東側はやはり水害の懸念がありますので、そのリスクを少なくしたい場合は、このエリアでの検討を控えるのがベター。

一方で、東側一帯は都内でも多くの人口を抱える重要な場所であることから、行政もさまざまな対策を注力して行ってきました。

低地だからこその坂道の少なさや、水に親しむことをテーマにした、緑道やじゃぶじゃぶ池などのあるたくさんの公園など、江戸川区ならではの魅力もいろいろあります。

条件はさまざまですが、今回の記事がひとつの参考になりましたらうれしいです。

※写真はすべて2024年12月に撮影
※距離は現地からの地図上の概算です。徒歩分数は80 m=1分として算出し、端数は切り上げています
林 景子

住宅ライター
林 景子

テレビやラジオのレポーター経験から取材好きに。
現在は、住宅のほか、子育てなどに関するライターとしても活動中。
自宅の壁や家具・小物などに自ら手を加えるなど、DIYが得意。

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