モデルルームのFP相談。住宅購入のお金のこと、どこまで相談できる?聞いてきました

マンションを購入する際、資金計画の相談や諸手続きは、基本的にはマンションの販売スタッフさんとやり取りをすることになりますが、「資金面でちょっと不安があっても、『買えますよ!』と営業されてしまうのでは」と思ってしまいます。
そんなときに頼りになるのが、ファイナンシャルプランナー(FP)。
マンションの販売スタッフさんとは切り離された“第三者”の立場ですから、客観的なアドバイスをしてもらえます。
「ザ・パークハウス 三郷」では、購入の検討中に、資金計画面で不安や疑問がある場合、お金のプロであるFPに無料で相談ができるよう紹介してくれるそう。
モデルルームで実際に会って相談したり、オンライン相談も可能だそうです。
具体的には、どんな相談ができるのでしょうか。気になる住宅ローン事情も含めて聞いてきました。
こちらの記事をまとめると……
■FPに聞けること … 銀行や金利の違いから、本当にこの物件でいいと思う?まで。“第三者”だから聞きやすい
■具体的な住宅ローンの組み方 … 5,000万円の物件を買うには、年収いくら必要?
■金利はどう見る? … 変動金利は変わらず低い水準。将来は「その時の状況に合わせて決める」でOK
FPに聞けること … 銀行や金利の違いから、本当にこの物件でいいと思う?まで。“第三者”だから聞きやすい
▲今回お話を伺ったのは、保険代理店「株式会社Jリスクマネジメント」のFP、和田さんと佐々木さん(上写真)。
佐々木さんは「ザ・パークハウス 三郷」の購入を検討している方の相談も担当しているそうです。
お2人の所属する「開発FP支社」では、年間で5,000件近くの不動産関連の相談を受けているのだとか。
―― FPにはどのようなことが相談できるんですか?
佐々木さん : 住宅の購入に関するお金のことなら何でもご相談いただけます。
住宅ローンについて事前にネットで勉強されている方もいらっしゃいますが、「基本的なことから教えて!」という方も多いです。
和田さん : 変動金利と固定金利はどう違うのか、ローンを借りる銀行にしても、街でよく見かけるような都市銀行がいいのか、信託銀行がいいのか、店舗のないネット銀行がいいのか……。
数多い選択肢のなかから、本来ならお客様がご自身で銀行に行って調べて選んでいくところを、FPなら一括で、どの銀行がいいのか、どんな組み方がその方に適しているのかアドバイスさせていただけます。
手間を省くためにFP相談を使っていただいて良いんです。
▲「住宅購入の『お金の相談』ができる相手って、なかなか見つからないですよね。話しづらいお金の話を何でも相談してください。中立的な立場からのアドバイスできればと思っています」と和田さん。
―― 事前にいろいろと調べていて、詳しい方では、どんな相談がありますか?
和田さん : 最近は団信(※1)の話がよく出てきますね。今は銀行も顧客獲得のために、いろんな特約(※2)を打ち出しています。
(※1:団信(団体信用生命保険)…契約者が死亡または高度障害状態になったときなどに、住宅ローン残高がゼロになる保険のこと)
(※2:団信の特約…団信に付帯する、特定の疾病の診断が下りたとき、保険金や入院一時金、入院の日額手当などが出る保障のこと)
特約の保障を受ける条件が、一般的な三大疾病だけでなく、七大疾病、全疾病という商品もありますし、特約を付けると通常上乗せになる金利が、うちは無料になりますよ、というところも。
かなり選択肢が豊富なので、何が良いのか分からないという方も多いようです。
それもご要望をお聞きしながら、適したプランをアドバイスします。
―― 他にはどんな相談がありますか?
佐々木さん : お金の話に限らず、「本当にこの物件で良いと思いますか?」というご相談もあります。
不動産会社の営業さんにはお話されていなくても、FPに「実はこことここを、比較検討しているんです」とオープンにしてくださることもあり、そうなると私たちも親身になってアドバイスします。
和田さん : 物件のメリットって、不動産会社さんの口から語られると、たとえ本当のことだとしても、売るためのセールストークに聞こえてしまうことありますよね(笑)
私たちは第三者であり、不動産に特化したFPチームですから、「物件を見る目」があります。
その意見を聞いて、安心されることもあるようです。
具体的な住宅ローンの組み方 … 5,000万円の物件を買うには、年収いくら必要?
―― では、具体的な住宅ローンの組み方について教えてください。
5,000万円くらいのマンションを買うとして、世帯年収はいくらくらいあれば良いのでしょうか?
佐々木さん : だいたい600万円以上というところでしょうか。
和田さん : そうですね。
ただ、600万円に満たなかったり、モデルルームで出してくれる資金計画表なんかで「ちょっと厳しいかな」と思っても、FPに相談していただけると前向きなアドバイスができることもあります。
資金計画表による毎月の支払額は、賃貸に住んでいる方であれば、今の家賃と比較できるので「いくらまでなら大丈夫」という感覚はあると思います。
でも、住宅ローンとの“付き合い方”はそれだけじゃないんです。
どうやって完済するか、金利動向によるリスクをどう考えるか。
それから最も大事なのは、住宅ローンを払いながら、どれくらいのお金を貯めていかなければならないか。
そういうことを総合的に見て、貯蓄計画がしっかり成り立つ方は、がんばった価格の物件を買っても問題ないと思います。
―― その、「どうやって完済するか」や「お金の貯め方」は、どう決めればいいのでしょうか。
和田さん : ご家庭の状況を細かくヒアリングしたうえで試算して、FPが計画をお出しします。
よく「人生の三大資金」なんていわれるのが、「住宅購入資金」と「教育資金」、「老後資金」。
大きなお金が必要なのは、住宅だけでなく、教育と老後もということですね。
教育なら、例えばお子さんを通わせたい学校が公立なのか私立なのか、習い事はどの程度やらせたいのか。国や自治体の手当はどんなものがあるか。
老後なら、送りたい老後のイメージや、サラリーマンの方なら、退職金はどれくらいになりそうか、なども含めて試算します。
教育も老後も、「具体的な金額が分からないから漠然と不安」という方も多いと思うんですが、そこがクリアになると、「これなら大丈夫そう」と安心される方が多いですよ。
▲FPがライフカウンセリングに使っているというヒアリングシートの一例。
子どもの教育資金の欄には、学校は私立か公立か、大学への進学は自宅からか下宿か、といった項目も。
―― 返済期間についてはどう考えていますか?
やはり一般的にいわれるように、住宅ローンは「定年までに完済するべき」なのでしょうか。
和田さん : 定年までに返し終わるのが一番安心ではありますが、無理に60歳、65歳で完済することにこだわらなくてもいいと私は思っています。
先ほど、団信の特約で、「〇大疾病を保障」という話がありましたよね。
ちょっと極端な話ですが、仮に、貯蓄も、退職金もすべて住宅ローンの返済に回して、がんばって定年までに完済したとする。住宅ローンが終わるので、特約もなくなります。
そして、その翌年に万が一ガンになってしまったらどうでしょう。まとまったお金が手元にないので、医療費が支払えない、保険にも入っていない、なんてことにもなりかねない。
だったら住宅ローンをなるべく長く契約しておけば、病気になったときに特約の保険が使えます。
住宅ローンは最長の35年や40年で組んでおいて、貯蓄ができる余裕を残す。
まとまったお金ができたら、それを少し切り崩して、返済期間短縮型ではなく返済額軽減型の繰り上げ返済をする。
そうすると、住宅ローンの返済もでき、貯蓄も残せて、毎月の生活費にも余裕が生まれる。
そういった計画もできるんです。
佐々木さん : もうひとついえるのは、住宅を購入するなら早いうちが良いということです。
住宅ローンの返済期間がなぜ35年なのかというと、今のような住宅ローンが作られ始めた頃(1980年代)って、今より結婚や住宅取得の年齢が若かったんですね。
25歳で購入して、60歳の定年までに返済し終えられる期間ということで、35年なんです。
私も、「定年にまで」にこだわりすぎる必要はないと思いますが、豊かな老後のためには、貯蓄もしつつ、ローン完済は可能な限り前倒しできた方がいい。
そこはすべてのお客様にアドバイスしています。
―― 「35年」というととても長いので、「本当にそんな期間、支払えるんだろうか」と不安になる方もいらっしゃると思います。
和田さん : 確かに、35年後なんて先過ぎて分からないですよね。
でも10年、15年だったら、ほとんどの方がイメージできるんじゃないでしょうか。
これから15年は頑張って働いて、返済していく。
仮に15年後に不測の事態が起こって、どうしても返済が苦しいなんてことになったら……その時は売却するという手もあるわけです。
参考程度にはなりますが、購入を検討しているエリアで、築15年の、同じくらいの広さの中古マンションの売却価格を見てみてもいいと思います。
FPにご相談いただくと、1年目から35年目までのローン残債の表もお出ししますから、15年目の残債と、その売却価格を比べてみて「これならリスクはないんじゃないかな」と安心される方もいらっしゃいます。
▲参考資料として、借入金額を5,500万円として、夫婦で返済期間40年のペアローンを組んだ場合のローン償還表を作ってもらいました。
この場合、15年目の残債はおよそ3,590万円。
リスクを避ける方法のひとつとして、「好条件の立地や環境、名前の知れた大手ブランドのマンションなど、資産価値の落ちにくい物件を選んでおくのもリスク回避の方法のひとつ」とのこと。
金利はどう見る? … 変動金利は変わらず低い水準。将来は「その時の状況に合わせて決める」でOK
―― 金利についてはどうでしょう。長らく「超低金利時代」が続いてきましたが、1月から固定金利が上がったという話もあり、今後が気になります。
佐々木さん : 今「金利が上がってきた」と言われているのは、長期プライムレートに連動している固定金利なんですね。
短期プライムレートに連動している変動金利は、固定に比べると動きが激しくない。相変わらず低い水準を維持しています。
ニュースを見て不安になったという方もいらっしゃいますが、そのような事情を説明すると納得される方が多いです。
それでもやはり長期固定の方が安心だという方は、フラット35などの長期固定型と、変動と、ミックスで組む方法もありますし、夫婦で組むペアローンだったら借入額の低い方を変動にして、先に完済を目指すなど、組み合わせ方はいくつもあります。
それよりも今は金利の優遇幅が過去最大なので、そちらを利用するメリットが大きいです。
金利優遇は完済するまでずっと続きますから、仮に0.4%金利が上がったとしても優遇金利が助けてくれます。
また、住宅ローンには、金利が上昇しても5年間は返済額が変わらない「5年ルール」、その後6年目からの返済額は、それまでの金額の125%までしか上げることができないという「125%ルール」がありますから、組み方を見直す機会があったとしても35年間のうちで7回です。
先のことは誰にも分かりませんから、その時の社会の動きに合わせて決めていく、という考え方で良いと思います。
▲今回はインタビューのためオフィスにお邪魔しましたが、「ご相談はオンラインですべて完結することも多いですよ」と佐々木さん。
プライベートなお金の話は、自宅から相談ができると安心感がありますね。
―― なるほど。では最後に、FPから見て、住宅を購入することはメリットがあると思いますか?
佐々木さん : あります。
私も、銀行がお金を貸してくれるなら、何軒でも買いたいくらいです(笑)
買わずにずっと賃貸で過ごすという考え方もありますが、FPとしてお勧めはできません。
先ほどの団信のお話もありますし、家賃には終わりがないですが、住宅ローンなら終わりがあります。購入した家であれば、先ほどお話したように、いざとなったら売ることもできます。
そして、私たちFPは「住宅を売る」ことが仕事ではないので、お客様が住まいを取得された後も、ずっとお付き合いが続いていくことがほとんどです。私たちが取り扱う保険をお勧めしたり、住宅ローンの借り換えのご相談や、「NISAってどう?」というようなお話も。
住宅購入やお金のことに心配事がある方は、ぜひFPにご相談ください。お力になれるかなと思います。
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いかがでしたでしょうか。
どうしても、「住宅ローン」や、「教育資金、老後資金」というと、「ここを節約して、どうにか資金を捻出する」という話になってしまいそうですが、今回のインタビューの中でそのような“我慢”のお話は出ませんでした。
それよりも「したい暮らしを実現するためには、どうするか」という建設的なお話が多く、FPさんは不安をひとつずつ取り除いてくれる、「お金に関する相談役」といった印象でした。
ひとりで調べていてもなかなか解決しないお金のこと。ちょっと分からないこと、不安なことがあったら、サクッとプロの手を借りてみても良いかもしれません。

住宅ライター
熊谷実津希
「知りたいことは、現場に行って調べる!」がモットーの住宅・不動産専門ライター。二児の母にして分譲マンション購入経験あり。美味しいお店を発見する眼力にも自信あり!?