住宅ライターのザ・パークハウス 松戸取材レポート

千葉県松戸市

マンションの資産価値を左右する要素とは ~松戸駅・駅近物件の資産性を考察

マンションの購入に際し、資産価値を意識する人は多いでしょう。
マンションにおける資産価値とは、土地や建物を財産として評価した価格のこと。「売却時、中古マンション市場においてどれくらいの価格で取引されるか」とほぼ同義です。

では、「ザ・パークハウス 松戸」のような条件のマンションは資産価値の面でどう評価できるのでしょうか。
これまでに1000棟以上のマンションをチェックしてきた住宅ライターとしての目線で見ていきたいと思います。

こちらの記事をまとめると……

【1】 資産価値を左右する要素とは? … 立地・建物・需要のポテンシャル

物件の資産価値を左右する要素は「立地」と「建物」、それに加えて地域の「需要のポテンシャル」の3つが指標であると私は考えます。


▲最大のポイントが、交通利便性や駅からの距離、生活利便性などの【立地】、続いて広さや管理によって価値が変わる【建物】、その街の人口などの【需要のポテンシャル】、いずれも欠くことのできない要素です。

 

上記の3要素は価格に影響する部分ですが、自分や家族が住む目的で購入する場合は、「住むうえでの満足度」とのバランスを見る必要があります。

次章から、それぞれの要素について「資産価値」と「住むうえでの満足度」を両方見ながら解説していきます。

【2】 立地 … 「山手線東側の複数駅へ30分以内」は松戸の評価ポイント。商業施設評価も

マンションの資産価値をはかるうえで、最も大きな要素が立地です。
立地の良し悪しを決める要素を具体的に挙げると、以下のようなものになります。

交通利便性(都心への近さ、利用可能路線の数・種類、最寄駅からの徒歩分数など)
生活利便性(買い物施設、レジャー・文化施設、医療施設などの充実度)
・日照条件や眺望
・周辺環境(緑や公園の多さ・子育て環境・防災性・騒音の有無など)

交通利便性

まず交通利便性についてですが、最寄駅の都心部への近さ、東京近郊でいえばJR山手線沿線もしくは内側の駅までの所要時間がひとつの基準になります。
加えて、利用路線の多さ、ひとつのターミナル駅だけでなく多方面への行きやすさ、特急や快速などが停まるか、なども利便性のうちに挙げられます。

松戸駅は千葉県入り口の主要駅で、JR常磐線の「快速」や上野東京ラインが利用できる点は評価できます。

国土交通省の調査によると、首都圏の平均通勤時間は67.7分(※1)ですが、「理想としては30分以内」という人が多いでしょう。
松戸駅からは、山手線の東側半分であれば、乗車30分以内で通勤できる駅が複数存在します。


▲物件公式HPより路線概念図を引用、30分以内でアクセスできる駅を加筆。
JR上野東京ラインの乗入により東京や新橋、品川、東京メトロ千代田線の乗入により新御茶ノ水や大手町といったビジネスエリアに直通でアクセス可能。

 

「総じて30分以内で行ける駅が多い駅」であり、より多くの需要に応えられることが松戸の特徴といえます。

 
▲松戸駅から、新橋駅(画像1枚目)へは直通29分、大手町駅(画像2枚目)へも直通29分。
「勤務先から乗り換えなしで行ける駅」を住む街の条件に挙げる人も多いため、直通で行ける駅が幅広いほど有利といえるでしょう。

 

また、最寄駅からの距離については、中古で売りに出す場合は「ポータルサイトで検索される時にどう扱われるか」がひとつの指標になります。

中古マンションポータルサイトを見ると、駅徒歩分数の「選択肢」は、1分・3分・5分・7分・10分・15分・20分が3社、1分・5分・7分・10分・15分・20分、また、3分・5分・7分・10分・15分・20分がそれぞれ1社。
15年くらい前までは5分刻みが一般的でしたが、今は細分化されてきています。

試しに、松戸駅を最寄りとする中古物件の取引件数を調査したところ、直近1年間・全48件のうち、5分以内なら7件、7分以内なら10件、10分以内なら21件、15分以内なら32件(※2)


▲中古マンションポータルサイトの駅徒歩分数絞り込み条件。
駅に近い方が有利で、近さを重視する人であれば「5分以内」が理想であるとは思いますが、この数字を見ると7分以内の物件であれば、それなりの優位性があるのではと考えられます。

 

生活利便性

生活利便性の指標のひとつが、徒歩圏内の商業施設の充実度。
松戸はその点では評価されやすい駅です。

駅の西口・東口両側に「アトレ松戸」ほか大型商業施設が複数あり、8つの商店会で形成される松戸西口商店街などに小規模な店舗も集積。商業施設の数・種類が多いという特徴があります。

 
▲松戸駅周辺。現在駅の改良工事が進められており、新しい駅ビルの建設も予定されています。(※3)
ファッション系店舗やブランド店というよりも、食品系やドラッグストアなど生活密着型の店舗が多いのも特徴。
(画像1枚目:松戸駅西口周辺 マンション現地より約約430m/きてみてまつど通り 現地より約580m)

 

ちなみに、松戸駅周辺の商業施設の店舗数を見ると、大型施設4店舗の合計だけで224あります。(※4)

【3】 建物 … 広さや間取りは需要とのバランスに注意。建物や管理にも注目

広さ・間取り

間取りや専有面積については、広いほど価格は高くなりますが、資産価値を考えた場合は需要とのバランスも見ていく必要があります。

令和2年(2020年)国勢調査によると、全国で中古マンションを購入する世帯の平均人数は2.8人。全体のうち最も多い世帯人数は2人(32.5%)、次いで3人(26.3%)となっています。
これを厚生労働省が設ける「豊かな生活を実現するために必要な居住面積」の水準(20m2×世帯人数+15m)に当てはめると、専有面積は55㎡~75㎡ということになります。間取りでは2LDK~3LDKの住戸の需要が高いということになるでしょう。


▲購入者層の多い面積帯の住戸を購入する方が、後々売りやすいと考えることができます。

 

ちなみに「ザ・パークハウス 松戸」の場合、専有面積は65.25㎡~72.75㎡、間取りは2LDK~3LDK。
需要が高いと思われる広さ・間取りの住戸が中心のようです。

外観・共用部

建物外観については、これは住宅ライターとしての私見ですが、外からの「見た目の印象」が良い物件の方が、中古物件としての評価が高くなり、資産価値にもプラスになると感じます。
新築物件は建物の完成前に購入することが多いですが、中古物件は実物を見て取引するので、新築時よりも建物の印象が占める割合は大きくなるでしょう。

では建物が完成していない新築時にどの点を見て判断するかですが、私が考えるポイントは以下の3つ。
・規模感
・植栽や外構などの造り込み
・外観に使用されている素材


▲「ザ・パークハウス 松戸」エントランス完成予想CG。
総戸数107戸の適度な規模感にゆとりある敷地配置、高さ7mのクスノキのシンボルツリーをはじめとする豊かな植栽や、荷物の積み降ろしに便利な車寄せなどが特徴。

 

また、管理やアフターサービスが行き届いているかも、評価基準のひとつに挙げられます。

 

その他、「ザ・パークハウス 松戸」に関しては、メジャーセブンといわれる大手デベロッパーのうちの一社が事業主であること、建物の性能について先進的な取り組みがされていることも、ポイントになると考えます。

建物には「ZEH-M Oriented」が採用されるようですが、これは2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」で、2030年度以降に建設される住宅において「ZEH(ゼッチ。net Zero Energy Houseの略。エネルギー収支をゼロ以下にする家という意味)」基準の省エネ性能を確保することが目標とされたことに関連したもの。

 
▲年間の一次エネルギー消費量を20%以上削減。
将来的に当たり前となる機能が備わっていることが、プラスになると考えられます。

【4】 需要のポテンシャル … 松戸市の人口は約49万人、世帯数は増加傾向。7年連続待機児童ゼロなど子育て支援にも注目が集まる

需要のポテンシャルということでは、人口の多さや動向がひとつの指標になります。
たとえ立地や建物の条件が良くても、その街に居住する人が少ないと売却面では不利にはたらくことが多いからです。

松戸市の動向を見ると、人口は平成に差し掛かった頃(1990年頃)からそれまでの急増から微増に転じていますが、世帯数は増加傾向です。


▲松戸市HP「松戸市の人口の推移」より作成。
2022年12月時点の人口は49万6,954人と、千葉県でも3位の人口規模です。(※5)

 

また、松戸市は子育て支援にも力を入れており、7年連続待機児童ゼロを達成(※6)。認可保育所や学童などの子育てインフラの整備に加えて、保育の質向上、病児・病後児保育の整備などを推進しています。
この点は、子育て世帯への物件の売りやすさに繋がると思われます。

【5】 結論 … 松戸駅最寄りの物件は首都圏内でとりたてて資産価値が高いとはいえないものの、総じてマイナス点は少なく、暮らしやすさとのバランスも良い

こういった評価ポイントに照らし合わせて松戸駅周辺や「ザ・パークハウス 松戸」を見ていくと、もちろん山手線内側の駅近物件のような「首都圏の中でも特別、資産性が高い物件」ではないものの、都心の駅へ30分圏内であること、商業利便、建物、人口の多さなど、大きなマイナス点は見当たらない物件といえるのではと思います。

最後に、肝心の「実際の中古マンション売買の直近の取引状況」を調べると、松戸駅を最寄りとする物件の売り出しからの成約までの期間は、約65.8日(約2ヶ月)。(※7)
試しに近隣の金町・亀有・綾瀬3駅の平均118日(約4ヵ月)と比較すると、成約までの期間は早い傾向にあるよう。

値付けや個別の事情によって成約期間には差が出ますが、「売り出した物件に早く買い手が付く」、ということは、中古での売りやすさを考えるうえで好意的な要素であると思われます。


▲成約状況は、東日本不動産流通機構の不動産流通標準情報システム(通称:レインズ)にて、「徒歩10分以内・築10年以内直近1年の中古マンション」で調査しました。

 

次回は、立地と建物の安全性を検証。
松戸市のハザードマップや浸水履歴から、現地の水害リスクを調査したいと思います。

※掲載の写真はすべて2022年12月に撮影したものです。記載の距離は、現地からの地図上の概算です。徒歩分数は80m=1分として算出し、端数は切り上げています。
※1:国土交通省「第12回大都市交通センサス調査結果の公表について」より、定期券利用者の通勤時間(平均)参照
※2:国土交通省「土地情報総合システム」より不動産取引価格情報検索2021年第3四半期~2022年第2四半期を抽出
※3:「東日本旅客鉄道株式会社 東京支社」ニュースリリースより。「松戸駅改良工事」事業主体…東日本旅客鉄道株式会社・新京成電鉄株式会社、現況…工事中、工事完了予定…2027年(遅れる場合があります。出典:JR東日本ニュース、新京成電鉄HP)
※4:「ダイエー松戸西口店・イオンフードスタイル」27店舗、「アトレ松戸」98店舗、「プラーレ松戸・イトーヨーカドー松戸店」69店舗、「KITE MITE MATSUDO」30店舗の合計
※5:千葉県「市区町村別人口と世帯(最新)」(令和4年12月1日現在)より
※6:松戸市「まつどDE子育て」より「保育園・幼稚園の取り組み」参照。2022年4月時点。国基準による
※7:東日本不動産流通機構の不動産流通標準情報システムより、松戸駅から徒歩10分以内・築10年以内、令和3年12月~令和4年11月の中古マンション取引実績を抽出
熊谷実津希

住宅ライター
熊谷実津希

「知りたいことは、現場に行って調べる!」がモットーの住宅・不動産専門ライター。二児の母にして分譲マンション購入経験あり。美味しいお店を発見する眼力にも自信あり!?

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  • 情報は掲載日時点のもので、現在は対象の住戸が販売済みになったり、周辺環境等が変わっている場合もあります。